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過去へ
2004.12.28
自分に完全に満足する瞬間。
一番最近のはいつですか。
私のは10日前です。
突然だが、私は体が丈夫である。
雨に濡れようが何しようが、2〜3年に一度しか風邪もひかない。
が、そのかわりにというか、周囲の家電が次々に壊れていく。
現在も、わかっているだけで3つは壊れているが、中でもやっかいなのがパソコンである。
私のパソコンは、メールやインターネットが繋がっては切れ、
切れては繋がるという奇病を、かれこれひと月も患っている。
さすがに、もう終わりにしたい。
私は紆余曲折のたらい回しに耐え、
なんとか電話線の修理に来てもらうところまでこぎつけた。
それが10日前のことである。
修理にやって来たのは、50がらみの中年のおじさんだった。
何くれとなく試してくれたが一向によくならず、
人手を増やして結構大掛かりな工事を施すことになった。
外に停めてある車の中で応援を待つ、というおじさんに、
じゃ、これでも食べててください、と、何気なくみかんを渡す私。
その時!!
私はものすごく無意識に、両手でおじさんの手をやや包むような感じでみかんを渡していた。
こんな渡し方したの初めてだ。
瞬間、場の空気が変わった(と、私は確信した)。
そこには淫靡さは無く、
ちょうど、ドラマなどで、お婆さんが助けてもらったお礼に若者に手渡す時のような、
無理なく自然な親密さが、瞬時に力強くスパークしていた(と、私は確信している)。
なんて…なんて…余裕の渡し方だ!
私は、いつのまにこんなのをマスターしていた!
私は驚きのあまり、礼を言って出て行くおじさんを半ば放心状態で見送った。
そしてドアが閉まるなり、私は今やったであろうとおりの動きを反復してみた。
しかし、どうもうまくいかない。
みかんを持ってないからかな、と思い、
急いで部屋にとって返し、今度はみかんを持ってやってみた。
が、なにかがちがう。
夕刻、女が一人、薄暗い部屋の中で「シャドーみかん渡し」をやっていることの
不気味さはさておき、私は考えた。
一人で反復できないことは、この際さほど問題ではなかろう。
肝心なことは、
「人は、けっこうほっといても成長する!!その気があれば!!」
これだ。
人に物を渡すときは片手を添えるべし、などと意識せずとも、
来るべき時が来れば、人は、それなりのことをやってのけるのである。
なにを大げさなことを、と思われるかもしれない。
下手すると、バカだと思われるのかも。
が、これは、長年の私の持論(というか希望)を実証するに足る嬉しい事件なのだ。
ナイス渡し方でした、先輩。
私は、心から満足してみかんを食べたのだった。
つけたし
修理に4時間強。
が、未だすっきりとは直らず。
どうなる私のインターネットライフ。